2011年04月02日
Cinema / Think

ONKALO

映画『100,000年後の安全』を観た。

ONKALO(オンカロ=隠された場所):フィンランドで建設中の世界初の高レベル放射性廃棄物の最終処分場の名称。


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東日本大震災の福島原発の事故を契機に、世界中で、日本中で原発の推進存続派と反対派の議論が加速している。しかし、どちらにせよ既に高レベル放射性廃棄物は存在している。確実に。そして、最終的な処分を決定されぬまま。

現在、高レベル放射性廃棄物の最終処分場は世界中に一つも存在していない。当然、日本にも存在していない※。だが、原子力発電により毎日電気が使われていく中で放射性廃棄物が生み出され続けている。今はどの国も、仮の貯蔵施設に蓄えているだけなんだ。※日本の場合は再処理施設で対応する方針だんだけど、そっちのツッコミどころも満載だと思う。

といった情勢の中、フィンランドは世界で初めて最終処分場の建設を踏み切った。場所は地下500メートルの岩盤の中。その施設には国内で排出される核廃棄物を格納し、満杯となる約100年後の22世紀には入口を完全封鎖して、今まで通りの森に戻す予定なのだ。地盤の固い太古の地層に穴掘って埋めるだけ、それで終わり。管理も必要としない。ただし、問題はそこに放射性廃棄物が埋められていることが忘れ去られること。

『100,000年後の安全/INTO ETERNITY(原題)』公式サイト
2010年 国際環境映画祭(パリ)グランプリ受賞作品
監督・脚本:マイケル・マドセン

以下、公式サイトより引用

本作品はフィンランドのオルキルオトに建設中の、原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場“オンカロ(隠された場所)”と呼ばれる施設に、世界で初めてカメラが潜入したドキュメンタリー作品です。
高レベル放射性廃棄物は安全な状態になるまで、10万年間かかると言われています。フィンランドでは、固い岩盤を掘削し地下500メートルにまるで地下都市のような巨大な施設を、自国の原発から出る放射性廃棄物の最終処分場として作る事を計画しています。現在の段階では正式に運用されるのは2020年を予定しています。
共同通信が震災後(26、27日)行った世論調査では、原発を「減らしていくべきだ」と「直ちに廃止」の合計が46・7%、「増設」と「現状維持」をの合計が46・5%とほぼ同数でした。この映画の配給会社の代表である僕の個人的意見としては、自分は科学を信じているので、原発を人間が完全にコントロールでき、放射性廃棄物を安全に処理する方法を確立しているならばという条件付きで原発はあってもいいと思います。ただし、それが不可能ならば、要するに現状ではそうですが、新たに原発は作るべきではないし、今ある原発は停止していき、節電と代替エネルギーの技術的方法を考えるべきだと思います。
本作では、安全になるまで10万年を要するという高レベル放射性廃棄物を、果たして10万年間も安全に人類が管理できるのかという問題を、フィンランドの最終処分場の当事者たちに問うています。<後略> 浅井隆(アップリンク社長)2011年3月30日

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この作品を通して興味深い点は、高レベル放射性廃棄物が出す放射線が、生物にとって安全なレベルに下がるまでには、およそ100,000年かかるだろうということから、未来の人類へどのように施設を警告し説明すべきなのか?知らせるにしても、その頃の人類、未知なる生命体にどのように危険を知らせるべきか?言語は?記号は?ムンクの叫び?もしくは、施設の存在を知らせずに、ただ記憶から消し去ってしまうべきなのか?本気で悩んで考えているところである。

仮に100,000年前の人類と言えば、ほぼサルですよ。たぶん。ってことは、100,000年先の未来(仮に50,000年先の未来だとしても)、人類の進化は次のフェーズへ移っているはず、そんな相手に危険を知らせるって、考えたこと無いな。やはりイラストによるダイアグラムが一番良さそうな気もするよね。古代人の洞窟壁画などを見る限り、そう思うよね。ま、そうなるとエジプトのピラミッドみたいに宝あるんじゃねっ?ってことから、発掘されて放射能バーーンで終了という可能性もある。でも、そもそも放射線って目に見えないわ、臭いもしないわ・・・人間の五感で感知できないモノをイラストにするってのも難しいんだよな〜〜。

結局、いきなり未知なる相手を想像するんじゃなくて、この施設の存在を忘れられないように未来に向け語り続けるしかないだろうけど・・・映画の中で「忘れることを忘れないようにする」と言う言葉。う〜〜ん・・・もう人類にとってのパンドラの箱が開いてしまったわけで、これからも人類は核廃棄物と寄り添いながら生きていくしかないのかもしれない。

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渋谷アップリンクにて初日に観覧。久しぶりに朝から映画館の前に並ぶという行為。整理券配布20分前にて5番目であったが、程なくして定員近くの人達が並んでいた。最近はもっぱらネットで予約してから映画館へ足を運んでいたので、とても新鮮だったね。

上映終了後に、館長の声掛けで、お客さんからの感想を聞く時間が設けられたけど、皆、映画の感想って言うよりも、この映画をもっと広く多くの人に観てもらわくちゃっ!って気合い入っているひとたちが多かったのも興味深かった。ボクは、ちょっと途中でウトウトした部分もあったので、もう一度観たいですね。いや、寝不足のまま朝イチの上映だったので・・・w

渋谷 UPLINK
一般料金1,600円のうち200円が東日本大震災の義援金として寄付される。

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福島の原発問題は長期化しそうなんだけど、その間にも放射性物質が拡散していくのが怖いよね。なんせ、ムスメは1歳児。親の責任として、なんとか安全な地域で暮らさせてあげたい・・だが、生活基盤は?悩む。悩む必要なんて無いのかもしれない。日々、心が揺れている。既に多くの情報に翻弄され、心は被曝している。

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sunday TOKIHOUSE *17