宇宙的読書
今年の我が家は宇宙の話題で盛り上がることが多く、ついには彼女が図書館で借りてきた「ビッグバン宇宙論」という本に夢中となりました。ただ、完全なる文系夫婦なので、なかなか読み進められずに何度か延長で借りたりしているうちに、更新手続きも大変なので結局購入。で、最近ようやく上巻を読み終えました。
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内容は天文学の歴史レビューといった感じ。神話時代からはじまり、ギリシャ時代に確立された地球中心モデルや、神学者による聖書と矛盾しないための圧力を受ける天文学者。コペルニクスによる太陽中心モデルの発見と、それを改良したケプラー(コペルニクスは太陽の周りを地球が正円軌道するのに対し、ケプラーは楕円軌道することを発見して観測精度を上げた)。そして、ガリレオが彼らの説を擁護し広く普及させようとした結果、あの有名な言葉「Eppur si muove!(それでも地球は回っている)」を残すことに。さらに、アインシュタインの相対性理論からハッブルの登場へとなると、収縮する静的な宇宙の存在から、どんどん外側へ膨張していく宇宙の観測まで進み、現代へと繋がる。ただ単純に歴史を追うだけでもなく、専門知識ばかり並べているわけでもない、人類の宇宙に対する「知」の拡大の様子が分かりやすく、時にドラマチックに描かれています。星の移動速度を分光学でわかることを示したハギンズ夫妻の愛犬の名前がケプラーってのが、なんとなく歴史上の天文学者がぐっと近い存在に思えて、うれしくなりました。
遠くの星の光を望遠鏡で観ると言うことは、「より古い光=より古い過去」を観ていることになる。ガリレオの言葉として紹介されていたかと思いますが、この「望遠鏡はタイムマシンだ!」という考え方は特に印象的でした。きっと、天体観測やプラネタリウムが好きな人は当たり前の話かもしれませんが、いままで考えたこともなかったので、なるほどって納得。普段の生活で光の速度に時間を感じることはありませんが、宇宙から届く光の場合は、その光が発せられたのが何百年前とか何百万年前になるわけで、望遠鏡で遠くの星の光を見ることは何百万年先に地球に届く光の情報を先取り出来ちゃうってことになるのだ!・・・ということは、自分が地球に存在したままと仮定すると、過去に遡るタイムマシンっていうよりも、未来にいけるタイムマシンという方がしっくりするのかな。
しかし、地球は膨張する宇宙によって毎日銀河と共に移動しているわけだから、何百万年先に同じ星の光は見ることは出来ないはず・・・ということは、何百万年前の光を望遠鏡で観ているってことは、何百万年先の未来でずいぶんと離れた場所で観られるはずの星の光の情報であるわけだから・・・う〜ん、耳から煙り出てきた・・・「タイムマシン」と「どこでもドア」がセットになったってこと? やはり、宇宙っておもしろい。ちょっとタイプしているだけでドンドン謎が出てくる。
ビッグバン宇宙論 (上) サイモン・シン(著) 青木 薫(翻訳) 新潮社 2006-06-22 Amazon by G-Tools |
ま、このまま下巻も早速読みすすめていきたいところだけど、上巻のペースでは年内に読み終わるのは難しそうだね。でも、そんなゆっくり読んでいる本の横で、同じ宇宙の話でも、あっという間に読み終えた本もある。
最近 JSEA 日本宇宙エレベーター協会による第1回日本宇宙エレベーター会議が11/15に開催されるというニュースが。宇宙エレベーターや軌道エレベータという構想はチラッと知っていたものの、マンガや机上の空論としか思っていませんでしたので、それが実運用に向けてリアルな組織が国内にあるのを初めて知り、興奮!急激に盛り上がったところに目に飛び込んできたのが、アニリール・セルカン氏の「宇宙エレベーター」です。
セルカン氏は現在日本在住で、日本の大学で教鞭を執っているトルコ人の宇宙物理学者であり、NASAの宇宙飛行士候補であり、僕と同い年。w
実際、購入した本を読んでみると、宇宙エレベーターに関することは序盤のみで、子ども時代のエピソード(この子ども時代の話もかなり面白い)や宇宙の次元の話、古代シュメール文化の話など多岐にわたった内容になっており、ちょっとタイトルにだまされた感もありますが、内容は大変興味深くおもしろかった。特に滅亡したシュメール文化の碑文から宇宙に関する記述で、現代もしくはそれ以上の知識を持っていたのではないかという話。忽然と消えてしまったシュメール人とその文化。やはり宇宙を考えるには、過去を追いかけることになるのだろうか。
宇宙エレベーター アニリール・セルカン(著) 大和書房 2006-06-22 Amazon by G-Tools |
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宇宙な読書続きで、自分なりにいろいろと思い巡らせてみる。
4000光年離れた星から地球を観察すると、その星からは4000年前のシュメール文化が繁栄している地球を観察することになる。仮に現在の地球から瞬間移動してその星にたどり着けば、彼は4000年前の地球を観ることになる。ただ、地球から彼を観察するためには4000年先にならないと確認出来ない。光を通して目で見るという概念で捉えるならば、彼は4000年先の未来に行ってしまったことになるのだろう。でも、距離が離れているだけで、その星も移動した彼も、地球と同じ時間に存在しているのだ。
宇宙レベルで非常に遠い光の速度で何年もかかる距離を瞬間移動することは、3次元の認知レベルでは必然的に時間移動したと勘違いしてしまう。移動した本人は瞬間移動により過去へや未来ではなく、場所を移っただけなのであるが、3次元認知するためには時間がかかり、人間は時空を移動したかのような錯覚してしまうのではないか。
アインシュタインは時間を加えた時空という世界を唱え4次元の世界があるとした(よね?)が、我々は3次元の住人でしかない。セルカン氏によれば、常に時間が未来へ進んでいる我々の世界は3.5次元という考え方を提起している。しかし、彼の3.5次元は4次元を時間であると仮定した場合であり、常に3次元認知を前提とした4次元である。瞬間移動という観点から考えると、一度人間は3次元認知を捨てることが出来れば、いとも簡単に新しい次元認知の壁を越えられるのかもしれない。
例えば、頭の中で遠く離れた場所をイメージして、そこに移動したつもりになって思いを巡らせることは、別次元の扉を開けようとしていることになのだろうか?いや、イメージするだけでは物質を認知する3次元的な移動は含まれないので、イメージだけによる1次元世界なのだ。人間はまだ3次元に囚われてしまっているので、イメージした先を頭に思い浮かべても、物質的な移動を同時に行うことが出来ないのである。そのためには物質的な体を捨て去らないと駄目なのかもしれない。
スタートレックに登場する高次元生命体であるQ連続体は寿命も性別も種族もない、何にでも変異変化出来、時間移動も瞬間移動も可能だ。想像力だけで存在しているかのようだ。しかし、肉体は存在していない。
遠く離れた双子の間には全く同時に起こる出来事や、同じことを思う瞬間があるという。これは、なにか別次元で繋がっているからかもしれない。この見えない繋がりの以心伝心すると言うことは、お互いの距離を無くしてしまうことができる。正に精神のみの瞬間移動である。むしろ肉体はいらないのである。
こんなことを言っていると、瞑想して肉体から精神だけを呼び起こす宗教的な儀式な展開になりそうだけど、昔から人は肉体的な3次元認知の世界を捨て去ることで別次元へトリップすることを行ってきた。体の感覚が消え、精神だけの世界になることで、新しい世界が見えてくると言う・・・もしかしたら、地球を捨て遠く離れた星へ移住した古代のシュメール人達が、宇宙間の距離を消すための交信手段として行っていた儀式の名残なのかもしれない。。。
最近宇宙の話題になると高次元や別次元の話になったりしますが、4次元や5次元の世界では我々が認知している3次元の世界はむしろそれらが足かせとなっているのではないか。ルービックキューブも1面や2面から順番に進めても6面は完成しない。最初から6面を作り始めないといけないように、高次元の世界へは一度我々の住む3次元世界を捨て去る必要があるのではないか。
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でも、そういえば・・・物質的な肉体を伴いながら瞬間移動することが出来る人物がいましたね。ドラゴンボールの孫悟空。彼は瞬間移動をする際に、移動先をイメージしないと瞬間移動出来ないことは、今までの考え方からすると、理にかなっているじゃないかなと。悟空は既にこの思念移動と3次元をコントロールできるようになっていることになる。彼は4次元世界に生きているのだが、誕生したのは2次元の世界からなのだ。これはあるヒントになるかもしれない。w
ここに書いてあるようなことを小さい頃から考えては、呆然としつづけている私です。
先日会った某省勤務・国家公務員の友人が、以前は遺伝子まわりの仕事をしていたけど、今は宇宙担当になったという話をきいて、いてもたってもいられないくらいうらやましくなりましたヨ。
「遺伝子は、ヒトゲノムとか、やっていても実感がないけど、宇宙は自分がたてた予算で日本の衛星が飛んだりするから、実感があって楽しい」ですって!
Posted by: mino | 2008年10月14日 01:15